ニュースや新聞見てると必ず出てくる〇〇主義とか〇〇制(〇〇政)。
なんとなくわかってはいるつもりだけど、毎回なんとなくモヤモヤするので図にまとめることにしました。
私は学者でも専門家でもありません。
ここに書いていることは「私はこう理解した」を表明しているだけですので、間違っているかもしれません。
このページを足がかりに、みなさんそれぞれで調べてみてくださいね。
おことわり
「〇〇せい」と言ったときに、「〇〇政」と「〇〇制」の2つの表現がありますが、ここでは○○制に統一します。
〇〇制、〇〇主義は学者によっても見解が分かれていますし、それぞれの〇〇制はさらに細かく分類されることもありますが、ここでは全体像を把握することに主眼を置いています。
○○制、〇〇主義の全体像
まずおおまかには政治(国の統治の方法)として共和制、君主制、民主制などがあるということです。
そして政治で統治する中の経済のしくみとして資本主義、社会主義、共産主義などがあるという捉え方がいいと思います。
政治の話
君主制vs.共和制
これは単純に王様(王、皇帝、天皇など)が主(あるじ)であるかどうかが重要なポイントです。
王様が主(あるじ)であれば君主制、主でなければ共和制ということですね。
君主制
絶対君主制
その名の通り、王様が絶対的存在なわけです。
主権(国を動かす権利)ももちろん王様が持っています。
つまり王様のやりたいように国が動きます。
当サイトの分類では北朝鮮はここに入ります。
国名に「民主主義」が入っていますが、その最高指導者は事実として世襲で引き継がれていますので、実質的に王の位置づけになると思います。
立憲君主制
王様が主(あるじ)として存在するのですが、王様も国民も憲法に支配されていて、主権(国を動かす権利)は国民が持っています。
つまり民主制のひとつですね。
王様は好き勝手に動けません。
当サイトの分類では、イギリスおよびその連邦(オーストラリアとか)と日本などがここに入ります。
学者さんの世界ではイギリス国王の位置づけと日本の天皇の位置づけが異なるという話もありますが、ここではざっくり同じグループにしましょう。
共和制
王様がいませんので、王様以外の人が国を動かします。
王様以外の人の種類によって寡頭制と民主制に分かれます。
民主制は必ず共和制に属するわけではありません。
寡頭制
寡頭制は比較的少数(たとえば数人~十数人程度?)の人が主権(国を動かす権利)を持っていて、その人たちが相談して国の動かしかたを決めます。
つまり国民は蚊帳の外です。
当サイトでは中国とロシアをこのグループに入れます。
中国は独裁制じゃないの?という見方もありますが、一応複数の有力者が相談して国を動かしているようですので寡頭制にしましょう。(一党独裁であることは間違いありませんけど)
ロシアは国民に選挙権があって、表向きは民主制を装っていますが、その選挙が公正なのかどうか非常に不透明ですので、とりあえずこのグループに入れましょう。
民主制
民主制は主権(国を動かす権利)は国民が持っています。
国民主権だけど王様がいるようなケースは共和制のグループには入れず、先に説明した立憲君主制ということになります。(イギリス連邦系、日本など)
共和制の中の民主制という意味での代表格はアメリカ合衆国ですね。
共和党と民主党という二大政党があるのもうなずけます。
独裁制
上の図で独裁制は共和制 – 寡頭制のところと、君主制 – 絶対君主制のところに表されています。
共和制 – 寡頭制のところに入れた独裁制は、表向きは何人かで意思決定をする(つまり寡頭制)だけど、何人かのはずがいつの間にか事実上1人になった状態ですね。
先ほど中国は共和制 – 寡頭制のグループに入れましたが、2022年10月の中国共産党全国代表大会の様子ではかなり独裁臭が漂ってきました。
中国は数年後、独裁制グループに入れたほうがいいかもしれません。
繰り返しになりますが、ロシアは民主制を装いながら大統領の独裁状態になっているようです。
君主制 – 絶対君主制の独裁制には北朝鮮を入れましたが、ほかにもサウジアラビアなどがこのグループに入ると思います。
経済の話
資本主義
国民が財産(資本)を持つことを認めていて、その財産を元手にさらに財産を増やしても構わないしくみです。
資本主義は一般的に財産の増やし方は自由競争になりますので、競争原理が働いて技術的な成長や経済的な成長が速いです。
反面、政府が適切に規制しないと貧富の格差がどんどん開き、治安上の悪影響が大きくなることもあります。
社会主義
資本主義から共産主義へ向かう通過点という見方もあるように、個人の財産の所有を認めないか、認めたとしても国が厳しく管理する主義ですね。
どんなに厳しく管理しようとしても、現実的には何万人、何億人の国民を完全に統制するのが難しいことと、資本主義国が存在する国際社会の中で自国のみ社会主義を貫くことは経済成長、技術成長面で不利になることが欠点です。
その結果、資本主義から共産主義へ向かう道のりを少々後戻りして資本主義を一部取り入れた社会主義市場経済という苦肉の策を取り入れざるを得ないことになっています。
共産主義
すべての財産は国民すべてで共有、分配するという考え方です。
たとえば農家が作ったお米を家の前に置いておけば、必要な人が必要な分だけ持って帰って食べる、というような社会です。
すべての物(財産)がみんなの共有物ですので、誰が持って帰ってもいいわけです。
この理想が達成されると、政府という組織さえいらなくなってしまいます。
ただ現実には、誰しも欲があり、他の人よりたくさん食べようとか、他の人より楽をしようと考え、そのような人を無くすことはできませんので、完全な形の共産主義を実現した国はなく、現在のところは残念ながら絵に書いた餅です。
制度・主義で勘違いしやすいところ
私もこの記事を書くまではそうだったのですが、各制度・主義のことを調べても異なる主義なのに似たような説明があったりして混同や勘違いを生んでいると思います。
例1 民主主義の対義語が共産主義なんでしょ?
民主主義は政治的な考え方、共産主義は経済のしくみの考え方と分けて考えましょう。
上の図に当てはめて、当サイトでは民主の対義語(反対の意味)は絶対君主と寡頭制とします。
例2 民主制の対義語が共和制でしょ?
アメリカ合衆国に民主党と共和党があることから勘違いしやすいですね。
上の図で見てみると、民主制は共和制の一形態であるとも捉えられますし、王様がいる国の場合立憲民主制をとることもありますので、民主制と共和制は対義語の関係ではありませんね。
例3 独裁制の国家って悪い国でしょ?
いい国か、悪い国かというのは評価する人によって異なると思いますが、独裁国が悪い国と評価されることが多いのは事実ですね。
独裁国ではよくも悪くも最高指導者が交代することがないので、最高指導者がいい人であればずっといい国ですし、最高指導者が悪い人であればずっと悪い国になります。
最高指導者も生身の人間ですのでいつか権力の座から降りる日が来ます。
独裁国家ではそんなときにクーデターなどの政変が起きやすいようです。
現在のサウジアラビアや江戸時代(家康時代)の日本などは、比較的いい独裁国と評価してもいいかもしれません。
例4 民主主義っていい国でしょ?
民主制が正しく機能しているのであればいい国だと思います。
しかし民主主義を唱えている国でも権力者が水面下で選挙をコントロールしているケースもあるようです。
また、民主主義が成熟しているように見えるいわゆる先進国でも、実際に民主主義っぽいことが行われるのは選挙のときだけで、次の選挙までの間は寡頭制と見ることもできると思います。
記憶に新しいところでは、某元最高指導者が凶弾に倒れたとき、国葬するのかしないのかという場面で民主主義が働いたということに疑問を感じた人は多いのではないでしょうか。
この記事を書きたくなったきっかけは、アメリカ合衆国の民主党と共和党の思想の違いって何だろうと思ったことでした。
今回整理してみて、そもそも民主制と共和制が根本的に相反するものではないということがわかりました。
銃規制に消極的な共和党の中にも銃規制をすべきだと考える人もいるでしょうし、移民受入容認の民主党の中にも反対意見はあるでしょうし。
今回整理した内容は私見による強引さや乱暴なところがあるかもしれませんが、みなさんが政治や経済について深掘りするきっかけになれば幸いです。
補足
今回整理した図に専制政治が入っていませんが、概ね寡頭制と独裁制を含んだものと捉えればいいように思います。
図で言えば民主制以外の部分ですね。
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